エゾシカの骨からフォン(出汁)をひいてソース・ポワヴラードを作る。

今夜は蝦夷鹿の骨からフォン(出汁)をひくためお店に泊まり込みです。

12月からのメニューである「蝦夷鹿とフォアグラのシューファルシ」のスープ部分や「蝦夷鹿とフォアグラのパテ・アン・クルート」に使います(こちらは煮詰めてジュレ状にしてから混ぜ込みます)。
蝦夷鹿を使ったほぼ全ての料理でこのフォンを使用するので、作らざるを得ません(^_^;)。

店主は昔「フランス料理って高いよなぁ…」と思っていたんですが、手抜きせずまともに作ろうとすると異様に手間がかかるんですよね。
それを知ってからは「まぁ…しゃーないな…」と思えるようになりました。

例えば写真の「蝦夷鹿のロティ(ロースト)」。
肉の下処理や熟成過程、焼く時のひと手間などは一切省いて、ソースができるまでの流れにのみ着目してみましょう。

作るのは蝦夷鹿用のソースとしてごくオーソドックスな「ソース・ポワヴラード(説明後述)」とします。

【 ソース・ポワヴラードができるまで 】


蝦夷鹿を捌いて骨と肉に分ける(肉は真空パックorラッピングして冷凍保存)


骨はのこぎりで細かくカット


オーブンでカラッと焼く(途中何度か温度を変えながら5~6時間)




フォンをひくための香味野菜(たまねぎ、ニンジン、セロリ)もオーブンで焼く


骨を焼いた時にスュック(旨味の元)がオーブンペーパーに付くのでこそぎ集める


お湯を張った寸胴に蝦夷鹿の骨、スュック、香味野菜、ブーケガルニなどの香草を入れて煮込む(約4時間~5時間)


煮上がったら漉して急冷し冷蔵庫へ


味がしっかり出たら濾して冷やし、浮いた余計な脂を取り除く


鍋に移し一度沸かして更に余計なアクや脂を取り除く






漉して計量しパッキング(フォンの完成)


小鍋に蝦夷鹿の端肉を入れてバターで炒める
(写真が無かったので鳩のガラを炒めている写真でご勘弁ください)

エシャロットとニンニクも入れて炒める


フォン・ド・シュヴルイユ(蝦夷鹿の出汁。先ほどとったフォンのことです)を注ぐ


煮詰めてキャラメル状にする

フォンを追加で注ぎ、煮詰める(この流れを数回繰り返す)

煮詰まったところに赤ワインを注ぎ、更に煮詰める

甘みを足すためのクレーム・ド・カシス、酸味を足すためのカシスビネガーを加える

シノワ(漉し器)にペーパーを敷いて黒胡椒を挽き、そこにソースを通す

バターを加えてかき混ぜてとろみをつけ、塩で味を決める(ソース完成)


焼き上がった肉に添える

とまぁ、こんな感じの流れになります。

勿論作り手によって細かな操作は若干変わりますが、基本的には

「ジビエ(野生鳥獣)で取ったダシと赤ワインを煮詰め、胡椒の香りを利かせたソース」

が「ソース・ポワヴラード」です。
お店にもよりますが、1人前で大体15~30ccくらいでしょうか。

10時間以上の手間をかけて大量のフォンを仕込んでも、ソースにするには僅か1/10以下になるまで煮詰めなければいけません。

…そりゃ高くもなるよなぁと…。

ただ、そのソースには蝦夷鹿の風味がたっぷりと溶け出していて、肉との相性が抜群なのも確かです。
余計な水分が抜けてサクリと焼き上がった蝦夷鹿にソースをたっぷり絡めて口に運び…そこにボルドーの赤ワインでも流し込もうものならもう止まらなくなります。

そんな「普段そうそう食べないけどワインに合うし美味しい」料理を北見でも食べられたら嬉しいよな~と店主は思うわけで。

なので、これでもかというくらい手間はかかるけど、骨をのこぎりでギコギコやってフォンを仕込んでいるわけです。

あ、ディナーですがまずは身内やそれに準ずる近しい人を招待してチャレンジしてみる予定です。
長らくお待たせして大変申し訳ありませんが、提供した料理やその模様はこのLINEやウェブサイトで報告予定ですので楽しみにしていてくださいね。

ワインやドリンクメニューも色々検討してみようと思っています。
基本はフランスワインを置こうと思っていますが、どうしても価格が高くなりがちなのでニューワールドのワインも置きつつ、地方色を出すため北海道のワインも美味しいものをチョイスしたいと思います。

とはいえ、最初は泡が2~3種類、白3種類、赤3種類程度でしょうか。
それとは別にハウスワインも用意しないといけませんしね。
自分が飲んだことのあるものに限定しようと考えていますので、どうしても最初は貧相なワインリストになってしまうと思いますが何卒ご容赦ください。

それではまた!
今年の通常営業は今週金曜日(13日)で最後です!
20日はノエルメニューのお渡しのみで、27日はお休みとなります(1月3日もお休みです)のでご注意ください。

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