毛ガニとピノ・ノワール

義父からとんでもなく旨い毛ガニ(身がパンパンに詰まった、まさに「堅ガニ」というやつです)を頂いたので、子供たちが寝た後ゆっくり日本酒片手に楽しんでいました。

その時ふと目に入ったのが、先ほどまでリエットと一緒に楽しんでいたニュージーランドのピノ・ノワール。

市内のセブンイレブン中央店(はたさんのセブンイレブンと言った方が通じる方が多いかも)で買ったこのピノがなかなか美味しかったので、つい「毛ガニと合わせてみようか」などと悪戯心がはたらきます。

勿論、毛ガニは魚介ですから、セオリーからいえばシャンパーニュや白ワインを合わせるべきところ。

しかし、先日余市の「ジジヤ・ババヤ」で頂いたヘラガニのパスタは、ドメーヌ・タカヒコのピノ・ノワールと合わせても違和感無く楽しめたんですよね。

ということは、タンニンのきつくない赤ワインなら浜茹で毛ガニともケンカせずいけるのでは…?と思ったわけです。

結論から言いますと…いけちゃいました。

勿論白ワインやシャンパーニュのように胸を張ってベストマッチと言えるかは微妙ですが、味がはっきりとしてある意味「わかりやすい」新世界のピノではなく、より淡く品のある旨味が魅力の北海道ピノなら更によくマッチしたのではないかと思います。

これは今までの自分の常識には無かった組み合わせでした。ワインというのは本当に奥が深いもんだなと改めて実感する、いい経験になりましたね。

こういった貴重な経験をもたらしてくれた義父には感謝しています。ちゃんと妻の分も半身残しておいたので安心してください笑。

あと、これはお店の営業的な話になりますが、お一人様やそれほどお酒に強くないお客様がディナーでご来店頂いた場合、コースをワイン1本で通すことも十分に考えられます。

そういった場合、ディナーで提供するどのメニューとも大きくケンカしないワインをチョイスしてお勧めした方が、全体としての満足感は高くなると思います。

つまり、毛ガニとピノ・ノワールという一見奇異な組み合わせを試してみるのは決して無意味なことではなく、お客様の満足度を高める可能性に繋がるわけです。

当店は週に一度の営業で、かつディナーも散発的にしか開催していませんから、その分一回の濃度、満足度をより高める方向に向かうべきと考えています。

それに正直な話、フランス料理ってそんな頻繁に食べるものじゃないですしね笑。

ただ、だからこそその一回をより思い出深いものにできたらなと思いますし、そうすることがこの地にフランス料理を根付かせる一助になるだろうとも思うわけです。

ディナーにいらしてくれたお客様が普段の日常に戻った時、ついあの時のディナーを友達に自慢したくなる。

そんな体験を提供し続けることがこの地にちょっとした変化をもたらすのではないかと店主は夢想しています。

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