「三段角のエゾシカのロースト」。

ノエルメニューに使った蝦夷鹿の肉は大半を捌いた後冷凍しておいたのですが、そろそろ熟成して柔らかくなってるかな?と思いロースの一部を解凍して食べてみました。

しっかり目に塩胡椒して余計な水分を抜き、表面を軽くリソレ(熱したフライパンで軽く焼き目を付けること。自分は肉表面に適度な硬さと香ばしさを加えることを目的にしてリソレしています)。

その後オーブンに数分入れて一旦出し、アルミホイルをかけ数分休ませる…という工程を7~8回繰り返します。

一回で火を通そうとすると外側だけ硬くなってしまい、写真のように全体が均一の赤色にはなりません。
表面の薄皮一枚だけが綺麗な焦げ茶色で、中は深紅になっているのがベストな焼き加減ですね。
いい感じに焼けたら暖かい場所で保温します。

その間にソース作り。
ビネガーやリキュールを煮詰め、赤ワインを足して更に煮詰めます。
最後に蝦夷鹿と羆で作ったコンソメスープの2番(出汁殻を使ってとる、いわゆる「2番出汁」)を加えて煮詰め、塩胡椒で調味しバターで繋げばソースも完成。
フォン(出汁)で作ったソースに比べて香りは穏やかで優しく、これはこれでまた美味しいですね。

ちなみに、自分があえて「三段角のエゾシカ」と書いたのは、大きいエゾシカは食肉としてのランクが低いと一般に思われがちだからです。

ただ、ハンター兼料理人の自分から言わせて頂きますと、実際はそのようなことはありません。
むしろ肉の水分量が少なく(グニョグニョしていない)味に凝縮感があり、噛み締めた時のサクサクという食感も心地良い実に高品質な食肉です。

クリスマスに獲ったものをわざわざここまで寝かせていたのは、冷凍状態でこのくらいの期間置いておくと旨味も増し、肉も適度にほぐれて柔らかさが増すため。
実際、試食した妻や子供達は美味しそうにモリモリと食べていました(娘と息子は妻のソースをこっそり横取りしていました(笑))。

若い鹿には若い鹿なりの美味しさ(シンプルに柔らかく、食べやすい)がありますし、大きな鹿には手をかけることで生まれる滋味深い美味しさがあります。

ジビエは自然のものである以上個体差も激しいですが、その違いをも楽しめるような美味しい料理にしていくのが自分のやるべきことかな、と。

で、そういうストーリーのあるお料理はお客様との話のタネにもなりますしね。
このエゾシカはディナーでも提供していく予定なので、メニューが決まったらまたLINEでお知らせしたいと思います。

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