こんばんは、メゾン・ブレイズの店主です。
今月30日、31日(こちらは当店ウェブサイトにて予約受付中)に開催予定のアルザス郷土料理+アルザスワインディナー、ご提供予定のワインを紹介します。
2月のディナーもテーマはアルザスなので下記ワインも一部提供予定ですが、2月まで全て残るわけではないため、確実に飲みたい方は31日のディナーをご検討ください。
【泡:クレマン・ダルザス】

アルザス滞在最終日、店主がベルクハイム→コルマール→キーンツハイムとバスを乗り継いで向かったにも関わらず、OPENしていなかったドメーヌ・シュミット・エ・キャリーのクレマン・ダルザス(シャンパーニュと同じ製法で作られたアルザスのスパークリングワイン)です。
営業日なのに開いてなかったリベンジをするべく(笑)、今回スターターの泡としてご用意致しました。
元々このドメーヌを知ったのは、ポール・ボキューズのお弟子さんでもある長野県上田市「桂旅館」のマスターのご紹介。
「今年飲んだピノの中で間違いなくここのがトップでした。行けるようなら是非」
という情報をフランス滞在中にご連絡頂きまして、急遽向かうことに。
宿を早朝に辞し、朝イチのバスでコルマールへ移動してから乗り換えてキーンツハイム村へ。
荘厳な城壁を潜り抜けた先には美しい村が広がっていましたが、無情にもドメーヌはClosedでした(泣きました)。
めっちゃ寒いし、超重い荷物(アルザス滞在中に買ったお土産全部持ち)を引っ張ってるし、石畳だからキャリーバッグ持ち上げて歩くしかないし、ほんと泣けました。
なので絶対リベンジせねばと思い今回のディナー用として注文したのがこちらのクレマン・ダルザスです。
ピノ・ノワールも揃えたかったのですがこちらは人気で日本に在庫が無いらしく断念。
まぁ、こういった郷土料理に着目したディナーは定期的にやりたいと思っているので次の機会に狙おうと思います。
セパージュはピノ・ブラン50%、ピノ・グリ25%、オーセロワ25%。
実にアルザスらしい、現地品種の組み合わせです。一般的なシャルドネとの違いをお楽しみ頂けたらと思います。
【白1:リースリング・グラン・クリュ・ブランド 2022】

続いて白はリースリングのグラン・クリュ(特級畑)。
DRCやルロワと並ぶ4ツ星生産者「ドメーヌ・ツィント・フンブレヒト」の白をご用意しました。
ちなみにこの「4ツ星」というのは「ギド・デ・メイユール」というフランスで最も権威のあるワインガイドによる評価で、「ワイン版ミシュランガイド」の異名を持ち毎年出版されています。
フランスでしか出版されていないにも関わらず、ブルゴーニュの星の状況は日本語でも報道されるなど注目度の高い雑誌です。
特級畑である「ブランド」は「Brand」と書くのですが、これには「火の国」という意味があるとのこと(ブランデーの語源でもあるそう)。
どういう由来なのか気になり、アルザスの古い言い伝えを調べてみたところ、この地で太陽とドラゴンが戦い、負けたドラゴンは地下にある洞窟へと逃げ込んだそうです。
このテロワール、抜群の日照量と北風から守られた立地に恵まれていて非常に温暖なのですが、その元ネタになっているのが上記の伝説とのこと。
更に、花崗岩の基盤岩の上に2種類の細かい雲母で構成される土壌は地中の温度を高く保ってくれるため、ブドウの成熟を促しつつリンゴ酸の燃焼を促進。
このような特徴から、若いヴィンテージでも十分に美味しく飲めるだけでなく、長期熟成にも耐えうる高品質なワインが生まれる地として有名になりました。
驚くべきことに、紀元742年の文献で既にこの土地のブドウに言及した資料があるなど、遥か昔から注目を集めていたようです。
香りが花開くまで時間がかかるので、是非ゆっくりと、次のお料理とも合わせてお召し上がりください。
蔵元のテイスティングノートでは「花崗岩土壌特有の湿った石と果実のアロマ。空気に触れると徐々に開き、白果実の濃厚なアロマが現れます」とのことでした。
【白2:ピノ・ブラン 2023】

作り手は先ほどのリースリングと同じ「ツィント・フンブレヒト」。
今回このドメーヌのワインをメインで提供することにしたのは、ただ有名なだけだからではありません。
実際にアルザスに滞在していた際、コルマールという街のワインバーで飲んでその美味しさに驚いたためです。
その時飲んだのはピノ・グリだったのですが、これがまた非常に複雑な味わいで、飲み終わる時まで印象がコロコロ変わるワインでした。
ツィント・フンブレヒトはアルザスのドメーヌの中でも最初期(20年以上前)にビオディナミに切り替えているのですが、当時は周りから「何のためにそんなことをするんだ」みたいなことを相当言われていたようですね。
そんな周りの声を品質の向上で沈黙させ、アルザストップドメーヌの地位を築いたわけですから素晴らしいと思います。
今回のピノ・ブランはリースリングとは打って変わって優しい味わい。
酸味のあるシュークルート、旨味の強いシャルキュトリを丸ごと包み込んでくれるイメージでこのワインをチョイスしました。
面白いのは「ピノ・ブラン」と書かれているのに「オーセロワ」も半分使われていること。
一瞬「表示偽装?」と思ってしまいますが、実はこの2種は味わいの個性が非常に近い(酸味のタイプは違うようですが)ため、全てオーセロワで作ったワインでも「ピノ・ブラン」と表記することが認められている非常にレアなケースなんです。
トゥルクハイム村にある砂利質の畑のブドウと、ユナヴィール村にある石灰岩質の畑のブドウを組み合わせて使うことで、この品種特有の飲みやすさの奥にある長い余韻を引き出しています。
【赤:ピノ・ノワール 2023】

今回のディナーで唯一の赤ワインがこちら。
ピノ・ノワール70%、ピノ・グリ30%の組み合わせです。
作り手はツェレンベルグ村の「マルク・テンペ」。
店主が足を運んだリクヴィールの隣にある村で、店主もすぐ近くを自転車で走ったのを覚えています。
こちらのドメーヌは当店の常連である、大変な美食家のお客様から教えて頂きました。
このワインの正式名称は「マルク・テンペ MT ヴァン L0.5 フルール・デ・ボワ」。
「森の花」というような意味らしいですが、淡いルビー色と爽やかな酸味、薄く感じるのに後引く旨味はあるという、少し北海道産のピノ・ノワールを彷彿させる味わい。
最後のお料理であるベッコフともよくマッチすると思いますので、是非じっくり味わって頂けたらと思います。
ちなみに、AOCアルザスを名乗れる赤ワイン用ブドウ品種はピノ・ノワールだけです。
先ほどの「桂旅館」さんの言にもある通り最近は非常に品質が高くなっており、近年ピノ・ノワールのグラン・クリュも新設されました。
このワインはカジュアルラインではありますが、その片鱗、ポテンシャルを感じさせてくれる出来だと思います。お見逃しなく。
