秋の新メニューその2「ブルゴーニュ産 雌子鴨モモ肉の軽い煮込み」

ちょっと珍しい、ブルゴーニュ産の雌子鴨で作った軽い煮込みです(フランスでは軽めの煮込みを大雑把にラグーと呼びます。実は煮込み料理一つ取っても細かい呼び分け方が色々とあるので、また折を見て紹介していきますね)。

ちなみにこの鴨、トウモロコシを餌にして育てられているため皮がとても黄色く、「ジョーヌ(黄色)」の名が付けられています。

塩胡椒して皮目を焼くと実に香ばしい香りが立つので、ついそのまま味見したくなってしまいます笑。

雌なので雄に比べるとサイズは小ぶりなものの、その分肉質は柔らかく繊細。
鴨特有の臭みも無く、非常に食べやすい(けれど後引く旨味はある)煮込みに仕上がっています。

そしてこの写真はこの鴨を煮込むためのフォン(出汁)。
当店では鳥の手羽元とセロリ・玉ねぎ・人参などの香味野菜、粗塩とブーケガルニ(香草の束)で煮込みを作るための出汁を取っています。

フランス料理ってお高い印象があると思うんですが、こういう煮込みを作るときに水ではなくわざわざ出汁を使ったりするんですよ…。
勿論鴨のモモ肉や野菜からも出汁が出るので、旨さは倍率ドンになりますが、その分原価も倍率ドンになるわけです笑。

ただ、このフォンで煮込んだ鴨モモ肉は、冷めるにしたがってフォンの旨味を全て吸い込んでいきます。
しっかり煮込んでほぐれやすくなった鴨モモ肉とクタクタになったキャベツと玉ねぎ。
そして土の香りのするゴボウを一緒に口に含めば…そりゃブルゴーニュのピノ・ノワールを合わせるしかないでしょう。

煮込みって料理としては地味ですが、なんとも言えない魅力があって店主は好きです。
軽いものから重いものまで、実は色々とバリエーションがありますし。
ルイ14世も食べた「王の皿」こと、野ウサギを使った超高級料理の「リエーブル・ア・ラ・ロワイヤル」も手の込んだ煮込みです。

とまぁ、煮込みバンザイな店主としては幾らでも語れちゃいますがこの辺にしておきます笑。

ちなみにこの煮込みにゴボウを加えるのは西麻布の名店「ル・ブルギニオン」のオマージュ。
店主がこのお店で働いていた方(現在は独立して自分でオーナーソムリエをされてます)ととても仲が良いということもありまして、作ってみたいな〜と。
上でも書きましたが、これが予想以上に鴨と合うんですよ。
日本でも鴨鍋にはささがきのゴボウが入っていたりするので、その辺からヒントを得たのかもしれませんね。

徐々に寒くなってくるこの時期に最適な一品です。
しばらくは秋の通常メニューとして鎮座しておりますので、是非どうぞ!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です