昨日は年内最後の営業日、かつノエル限定メニューの販売日でした。
タラバガニ、蝦夷鹿、羆(ひぐま)、トリュフ(特に書いていませんでしたが、トリュフペーストをパテアンクルートの中身に練りこんでます)、フォアグラ、牛ほほ肉と、高級かつレアな食材をてんこ盛りに使えて大満足です。
冷前菜その1「タラバガニのサラダ ジュレ仕立て」
まず冷前菜その1「タラバガニのサラダ ジュレ仕立て」ですが、活のタラバガニを仕入れて、販売当日にお店で塩茹でしたものを使っています。
ちなみに甲羅の出っ張りの数の違いで「タラバガニ」か「アブラガニ」かわかります。味自体はそれほど変わらないんですが、タラバガニの方がやはり高値で取引されていますね。
ちなみに甲羅の中央後方にある出っ張りが4つだとアブラガニ、6つだとタラバガニになります。これは6つなのでタラバガニということですね。
実は店主、以前網走のカニ屋さんにクライアントがおりまして…。そのクライアントから頂いた活タラバを家で茹でたら凄く美味しかったんですよ。
これをフレンチの形式でお客様に提供できたら、ありふれた浜茹でのタラバガニとは違う楽しみ方ができるのでは…と思ったのがきっかけでした。
高価な食材なので沢山使うのは流石に難しいんですが、タラバガニは味が濃厚なので少量でも十分に楽しめるのではないかと思います。
ビジュアルもご覧の通りの美しさですし、スタートの一品としてシャンパーニュで乾杯するのにも最適かなと…。
ちなみに「タラバガニのサラダ ジュレ仕立て」に関してはこちらの記事でも紹介しています。
・タラバガニのサラダ ジュレ仕立てができるまで
冷前菜その2 「蝦夷鹿とフォアグラのパテ・アン・クルート」
続いて冷前菜その2「蝦夷鹿とフォアグラのパテ・アン・クルート」ですが、材料はご覧の通り。
左上の4つは卵液、赤ポルト酒、香辛料(カトルエピスや黒胡椒)、ゲランドの塩。
中段は1歳の若いメス鹿のモモ肉角切りとそのミンチ、軽く湯通しして皮を剥いたピスタチオ、コニャックとエゾシカのフォン(出汁)を煮詰めて作ったジュレとなります。
そして下段は三段角の大きなオス鹿の肉なんですが、アキレス腱に近い部分の肉を塩漬けにし、低温の油でじっくり煮た「コンフィ」となります。その隣は豚の背脂の角切りです。
処理方法の異なる2種類の蝦夷鹿を用意したのは、同じ鹿でも年齢・性別・調理法で大きく味が変わることをお客様に楽しんで頂こうと考えたためです。
例えば「1歳の若い雌鹿のモモ肉」は柔らかく味もあっさりしていますが、「三段角の大きな雄鹿」は1歳の雌鹿とは全く異なる、濃厚で強い旨味が楽しめるんですよね。
これに塩とコニャックで風味付けした角切りのフォアグラとトリュフのペーストを混ぜ合わせ、キッシュ用ブリゼ生地で包み、上にパイ生地をかぶせて焼き上げます。
パテドカンパーニュとはまた趣の異なる、ゴロゴロとした肉の食感が楽しい一品。シャンパーニュから軽めの赤ワインまで、幅広いワインと相性が良いのも嬉しいですね。
温前菜「蝦夷鹿と羆のコンソメスープ オニオングラタン仕立て」or「スープ・ド・ポワソン」
3品めはスープです。上が「蝦夷鹿と羆のコンソメスープ オニオングラタン仕立て」で、下が「スープ・ド・ポワソン(の煮込み中写真)」になります。
通常よりも遥かに多い量の魚で仕込んだ、ノエルバージョンのスープ・ド・ポワソンと、蝦夷鹿と羆で仕込んだコンソメスープのオニオングラタン仕立てを選択する形でした。
まずスープドポワソンですが、今回はホッケをメインで使っています。
200mlのスープにホッケ約1尾が入っている計算なので、舌触りもザラリとした「食べるスープ」ですね。
で、もう片方のコンソメスープですが、ジビエを使っているとは思えないくらいクリアで優しい味わい。
…でありながら余韻が長く感じると思います。
風味を楽しんでもらえるよう塩の量を抑えて作りましたが、塩気とは違う野生の旨味を感じて頂けるのではないかなと。
「蝦夷鹿と羆のコンソメスープ オニオングラタン仕立て」に関しては、こちらの記事でスープができるまでをご紹介しています。
・蝦夷鹿のフォン(出汁)をひいているところその1
・蝦夷鹿のフォン(出汁)をひいているところその2
・蝦夷鹿のフォン(出汁)をひいているところその3
・羆のフォン(出汁)をひいているところその1
・羆のフォン(出汁)をひいているところその2
・フォンと肉、香味野菜でコンソメをひいているところ
メイン「牛頬肉の赤ワイン煮込み 2種のソースで」
そしてメインは牛ほほ肉の赤ワイン煮込み。
メニューとしてはごくごくオーソドックス。日本人でも知らない人はまずいないですよね。
でも、そういう歴史あるお料理は丁寧に作るととても美味しいです。美味しい煮込みを食べると、色々なお店で作られ続けるのも納得できると言いますか…。
赤ワイン煮込みなのでソースに酸味のキレは欲しい。でも酸味が強過ぎると深みを感じにくくなります。
なので、隠し味としてここオホーツクで採れた天然のメープルシロップを使いました。非常に貴重な品なのでどこで使うか迷っていたんですが、いい仕事をしてくれたと思います。
そして2つめのソースは、これまた貴重な天然モリーユ茸を使ったクリームソースです。
東京のレストランなどに行くと、このキノコが3つほど付くだけで1,500円ほど値上がりします。
モリーユは濃厚な出汁が出るだけでなく、非常に良くソースを吸い込むという特性があります。
鶏のフォン(出汁)を贅沢に煮詰めて、生クリームと合わせた濃厚なソースとモリーユのコラボ、是非お楽しみ頂けたらなと。
そして、お肉を食べ終わったお皿に残ったソースも是非パンに付けて食べてみてください。
それだけで十分にワインが飲めると思います。
「牛頬肉の赤ワイン煮込み 2種のソースで」に関しては、こちらの記事でスープができるまでをご紹介しています。
・牛頬肉を柔らかく煮上げているところ
いやはや、今回提供したお料理の説明だけでエラく長くなってしまいました笑。
2019ノエルメニュー デセール2種
デセール(デザート)に関しては実際にお買い上げ頂いた方のお楽しみということで…。
デセールその1の「クレメ・ダンジュー・オ・フリュイ・ド・ボワ」はこちらの記事でも紹介しています。
・デセールその1の紹介記事
デセールその2の「ガトー・ショコラ」に関してはこちらの記事でも紹介しています。ちなみにうちのガトーショコラは普通の濃さではありません(笑)。
・デセールその2の紹介記事
来年は1月10日より営業開始致します。
最近は早い段階で売り切れてしまう商品も多くなってきましたので、確実に手に入れたい方はウェブサイトよりご予約ください。
それでは、良いお年を!
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