「蝦夷鹿と羆(ひぐま)のコンソメスープ」

ようやく完成しました〜!
先日からタイムラインに蝦夷鹿の骨や羆の骨を焼いてフォン(出汁)を取る様子を投稿していましたが、そのフォンはこのコンソメスープを作るために必要だったんですよね。

ご覧の通り、濃い琥珀色で透明感もバッチリです。
ノエルメニューはオニオングラタンスープという扱いなので飴色玉ねぎとチーズ乗せバゲットもお付けしますが、まずはこのスープ単独で楽しんで頂きたいなと思っています。

塩の量は極力控えめにしていますが、それでも舌全体にジンワリと染み渡る旨味を楽しめますよ。

写真はこのコンソメスープができるまでの流れです。順を追って紹介していきますね。

まずこちらが材料その1。左から順にエゾシカの前脚の肉、フォンドヴォライユ(鶏の出汁)、フォンドシュヴルイユ(エゾシカの出汁)、フォンドウルス(ヒグマの出汁)となります。写真には写っていませんが、ヒグマの肉も用意しています。

コンソメスープは素材の骨からひいた出汁と肉の両方を使って作るんですよ。

こちらが材料その2。
香味野菜はセロリと玉ねぎ、ニンジンで、下の肉は先ほど上の写真でも写っていたエゾシカの肉とヒグマの肉をミンチにするためカットしたものです(肉の色・質感が微妙に異なっているのがわかるでしょうか)。

卵白も見えていますが、これは灰汁(アク)を吸着させて澄んだスープにする効果があります。

ミンチにしたエゾシカの肉とヒグマの肉を大鍋に入れて…

香味野菜、卵白を入れて練り合わせます。
ここで時間をかけてしっかり練り合わせないとスープが濁る原因になってしまいます。

練り合わせた肉はフォンを温めた大鍋に移します。
まだ真っ赤でドロドロしたただの液体ですね。
肉が鍋底に焦げ付かないよう、木べらで底をこそぎます。

少し沸いてきたところ。最初に香味野菜が浮かんできます。
温度が上がるにつれて肉も浮かんでくるので、液体の「蓋」になるようにします。
先の工程で肉をきちんと練っていれば結着して蓋状になりますよ。

蓋の中央に穴を開けたところ。
まだまだ濁っていますし色も味も出ていませんね。
この穴に浮かんできた肉や灰汁、野菜をすくって蓋の上にのせていきます。

徐々に澄んできたところ。
火力を調節してきちんと液体を対流させれば、卵白に汚れが吸着してこのように澄んできます。
完全に澄むまで7〜8時間ほどこの状態を保ちます。

8時間後のスープをすくって濾したもの。
この時点でも十分綺麗ですが、まだ完全に澄みきってはいないので、冷却して浮いてきた油を取り除きます。

更にキッチンペーパーで濾して僅かな濁りも取り除きます。

そして完成したコンソメスープがこちら。美しく透き通っていますね。

コンソメって今でこそ顆粒のものが沢山出回っていますが、正統なやり方で作ろうとするとこれだけの手間暇がかかるんですよ。

しかしきちんと丁寧に作れば、その手間暇が報われる何とも言えない滋味深いスープができます。

フランス語で「コンソメ」は「完璧な」「完成された」の意。

これ以上ないほどシンプルな見た目の中には、フランス料理のエスプリ(精神)が息づいているのです。

今回ノエルメニューでこのコンソメを選ばれた方は、是非じっくり味わってみてくださいね。

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