フランスが誇るM.O.F(国家最優秀職人章)シェフ、セバスチャン・ゾザヤ氏のシャルキュトリ特別講習会を受講してきました。

こんばんは、メゾン・ブレイズの店主です。

昨年はパテ・アン・クルート世界選手権で優勝し、見事世界一の座に輝いた「メッツゲライ・ササキ」福田耕平シェフのセミナーを受講してきましたが、今年はフランスが誇るM.O.F(国家最優秀職人章)シェフである「セバスチャン・ゾザヤ」氏のシャルキュトリ特別講習会を受講してきました。

東京に行く当日の午前中は山に入ってコガモを撃ったり…

蝦夷雷鳥を撃ったり…

エノキタケを採ったり…

チャナメツムタケを採ったりしていたので、

急に都会に移動すると、人の多さ、人と人との距離の近さに若干恐れおののきます(笑)。時間がたつと多少慣れてくるんですけどね。

いきなり人工物まみれ

北海道に戻って自然の中に入ると気分がほっと落ち着くので、やはり自分は自然の中で暮らす方が性に合ってるんだろうなと思います。

こういうのとか
こういうのとか
こういうのですね

ただ、自然の中にいるだけでは得られない技術や出会いが東京にはあるわけでして、そこに興味をそそられてしまうと行かざるを得ません。

というわけで、やってきました代々木駅。

こっち側から降りたこと一度も無いな…こんな趣のある駅だったのか。なかなかいいじゃないか。

まったく見知らぬ地ではありますが、文明の利器(Googleマップのライブビューイング。カメラに映った風景を自動認識し、リアルタイムでルート表示してくれる機能)を活用し、迷うことなく目的地に到着。

超便利

今回の目的地はこちら。

知らない人はいないでしょう

服部栄養専門学校です。料理の鉄人でも有名な服部先生の学校ですね。
受付の方にゾザヤ氏のシャルキュトリセミナーを受けに来た旨伝えると、セミナーは隣の建物で行われますとのこと。

受付で一緒になったご年配の方と一緒に隣の建物へ向かい、エレベーターを降りたその先には…

ご覧の通り。これがあれですか、キッチンスタジアムってやつですか(違う)。

とんでもねえ

前回のフジマックさんの時と違い、必ずしも前の席に行かなければ手元が見えないということも無さそうですが、セミナー開始1時間前に着いたということもあり、最前列のど真ん中が空いていたのでそこに陣取ります。

まさにかぶりつき

講習会のプログラムはこんな感じ。4時間のスケジュールで5つのシャルキュトリを作って見せるというのですから驚きです。きちんと各メニューのルセット(レシピ)もプリントされており、至れり尽くせり。

一度のセミナーでこんなに教わっていいんだろうか

ゾザヤ氏の書籍(恐ろしく分厚くて、5cmくらいありました。フランスのアマゾンから取り寄せると12,000円くらいとのこと)も飾られており、ちらっと読ませてもらいましたが凄まじい分量と大量の写真に圧倒されます。これは欲しい…

鈍器になりうる分厚さ

ちなみに先ほど受付で一緒になったNさんは富山でビストロ「ふらいぱん」を経営されている方で、パテ・アン・クルートの日本大会にも出場されたとのこと。御年70歳(!)と伺いましたが、そのバイタリティとチャレンジ精神、そして知識の深さに圧倒されました。こういう出会いがあると嬉しいですね。たまに都会に出てくるのもいいなーと実感します。

さて、セミナーが始まりました。左の方が日本シャルキュトリ協会会長で、東京神楽坂のフレンチレストラン「ルグドゥノム・ブション・リヨネ」のオーナーシェフでもある「クリストフ・ポコ」氏。右側が今回バスクから遠路はるばる来てくれたM.O.F.シェフ「セバスチャン・ゾザヤ」氏です。

渋すぎますが店主より年下です

今回のセミナーでは

・バスク風パテ 赤ワインとピマンデスペレット風味
・包丁で切り揃えたバスク風ブーダン
・鶏レバームース ポルト酒風味
・豚肉のトゥルトー
・トーションで成形した豚すね肉のハム ハーブ風味


の5種類を学びます。
どれも店主は作ったことの無いタイプの料理なので、興味津々・隙あらばスマホで撮影して後から見返せるよう準備万端。ノートPCも持ち込んだので、ルセットに載っていない細かな部分もしっかり書き留められます。

おまけに、上部にはシェフの手元を映すスクリーンも設置されているため、片手でこちらに映る映像をスマホ撮影しながら、肉眼ではシェフの様子をチェックするという二人羽織のようなスタイルが実現可能(笑)。いや、店主はそうそう東京には来れませんからね…こういう時は貪欲にいかねばならんのです。

細かな作業が多いので本当ありがたい

テンポ良く調理は進んでいき、その都度食材や中途段階での食材の様子などをチェックさせてくれます。

ピキヨス

バスク風パテに練りこまれているピキヨス(赤ピーマンの加工品)や…

ピマン・デスペレット

バスクといえばこれ!の「ピマン・デスペレット」。

ブーダン・ノワールになる前の肉ダネ

ブーダン・ノワール(血のソーセージ)を腸詰めにする段階の肉ダネも確認させてもらえました。

肉ダネがどのくらいの粘度になった時に腸詰めするのかなど、ルセットを読むだけではわからない部分も多いので、こういう気配りは本当にありがたいです。

これから火を通します

肉ダネを詰め終わり、火を通す前のブーダン・ノワール。

豚すね肉

豚すね肉のハムに使う豚すね肉。人間でいう肘から先の部分のようでした。

トーションでこのように成形する方法は初めて見ました

トーションに詰め終わったあとの豚すね肉のハム。

ハムを作るときに取り除いた脂の多い部分を利用して作る「ジャンボン・ペルシェ(パセリで風味付けした豚肉のテリーヌ)」などなどなど。。。

ゾザヤ氏の手際の良い調理を見ながら、ポイントポイントで細かく解説して頂き、かつ手元をアップにした映像もスクリーンで見ることができるという、大変に濃い4時間でした。

また、出来上がったシャルキュトリはご覧の通り美しく展示。

美しいバスク風パテ

ルセット自体は決して奇をてらったものではなく、むしろ実直さを感じられるものばかりなのですが、どれも品のある美しさで目を奪われました。

こちらは完成品の豚肉のトゥルトー。ノエル時期になると1,000個(!)くらい仕込むそうです。

カットした後の断面はこんな感じ。美味しかったですね~。地元に戻ったら作ってみたいと思っています。

ピマン・デスペレットとピキヨスの入った、バスク風パテ。通常のパテドカンパーニュに比べて水分が多くクリーミーな仕上がりです。

トーションで成形した豚すね肉の小型ハム。見た目がまず可愛いw

周りの赤い粉は低温で焼き乾かしたピキヨスとパン粉を混ぜたもので、緑の粉はパセリとパン粉を混ぜたものになります。ただ綺麗なだけでなく、とても良い味のアクセントになっていました。

中にはディジョンマスタードやパセリなどのハーブを混ぜたものが塗られており、皮のプリっとした触感や肉の旨味と相まって、ただのハムとは思えないくらい味わいが重層的になっていました。

様々な肉の断面が美しいブーダン・ノワール。丁寧な仕事が感じられます。

鶏レバーのムース、ポートワイン風味。なんともお洒落なパッケージ。

今回のセミナー参加者は70名を超えていたので、試食の準備もスタッフ総出で大忙し。

ゾザヤシェフのシャルキュトリはどれも優しく飽きの来ない自然な味わいで、かつ丁寧。
これがM.O.F.シェフの実力か…と感嘆しながら一品一品試食させて頂きました。
こういう、毎日食べても飽きがこないようなお料理を当店でも徐々に増やしていきたいですね。

セミナー終了後も多くの方が写真撮影や質問に押し寄せます。
パリでセミナーをする時より大勢の人が集まって熱気があるらしく、シェフも嬉しそうでした。

セミナーを聴講にいらしていた、メッツゲライササキ福田シェフにも簡単にご挨拶し、その場を退散。
明日はゾザヤシェフも審査員に名を連ねる、パテ・アン・クルート世界選手権アジア大会の決勝がフランス大使館で(!)行われます。

店主もその後に行われる優勝者発表会兼セレモニー「シャルキュトリの夕べ」に参加する予定でして、今からどんな美味しいものが頂けるのか、ワクワクしています(笑)。

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