こんばんは、メゾン・ブレイズの店主です。
今回はフランス料理に携わらなければ一生入ることの無かったであろう場所、東京都港区にある「フランス大使公邸(在日フランス大使館)」へと足を運んでまいりました。
目的は「第8回パテ・クルート世界選手権アジア大会決勝」の授賞式を見ることと、今回ファイナリストとして残った12名が作るパテ・アン・クルート「全種類」を試食すること。
そしてその後に行われる「シャルキュトリの祭典」に参加し、本場フランスのお料理を色々頂いて地元で提供できるよう学ぶことです。
昨日のセミナーで叩き込んだ情報がきちんと定着してくれたのか、この日はパチッと目が覚めました。気持ちのいいお天気なので、散歩がてら大使館見学へ向かうことにします。
ちなみに店主の滞在ホテルは大使館まで400メートルという好立地。
お洒落なマンションを眺めながらのお散歩です。
100メートルほど歩き、目の前に見えてきた「たぬきばし(↑)」なる可愛らしい名前の橋を渡ろう…
…としたところ、川面でくつろぐ大量の真鴨を発見。これ、場所的に獲っちゃダメなやつですよね?(ダメです)
鴨だけじゃなく魚もやたら泳いでるし………目の毒だな………
おまけに川の脇に生える木には沢山のヒヨドリがとまっていて、シャレオツな場所なのにやたら狩猟本能が刺激されます。住んでる人達、こんなの見てて獲りたくならないんだろうか(ならないか)。
このまま見てると川面に降りたくなってしまうので、後ろ髪引かれる思いで川を後に。帰りにこの道は通らないことにしましょう。
川を渡ったら200メートルくらいでフランス大使館に到着。流石というかなんというか、なんともお洒落な建物ですね。
ちなみに授賞式は大使館の建物ではなく、同じ敷地内にあるフランス大使公邸(駐日フランス大使のお住まい)で行われるそうです。
聞くところによるとこの公邸、国内外から年間1万5千人もの来賓を迎えるらしく、迎賓館としての機能も持たせられているとのこと。いやはや、凄いところに来てしまった感が。
おのぼりさんよろしく、ひとしきりパチパチと写真を撮ったら、先ほどとは違う道を通って帰ります。
帰りしなに美味しそうなパン屋さんを発見したので、朝食・昼食用に幾つかゲット。
クロワッサンにコーヒーという、はからずもフランス人っぽい朝食となりました。
きちんとやるならカフェオレを淹れるべきでしょうか(笑)。
日中は溜まったデスクワークをちくちくとこなし、夕方になったら普段は全く着ないスーツに着替え、改めて大使公邸へ。
今回の授賞式と祭典には国内外から150人もの方が参加するらしく、大勢の方が集まっています。
正門で招待状と身分証明書を提示し、いざ中へ。
念のため写真撮影について伺ったところ、2階は大使のプライベートな住まいになっているため、そちらは撮影しないでくださいとのこと。それ以外は特に問題なく撮影できるようです。
白い玉砂利が敷かれた、美しいエントランス。アートが沢山展示されているのも流石フランスという感じがしますね。
受付を済ませ、式次第をゲット。パテクルートアジア大会決勝出場者の詳細は勿論、今回の祭典で提供されるメニューもきちんと載っていました。
うーむ、メニューを見ているだけでお腹が空いてきます(笑)。
授賞式会場には、昨日のゾザヤシェフのセミナーでお隣になった方もいらしていて、簡単にご挨拶。店主は遠方からの単独参加なので、少しでも見知った顔の方がいると嬉しい気持ちになりますね。
さてさて、エントランス近くには様々な協賛企業のブースが。
大量に並ぶevianスパークリングに…
ニュージーランド産メルローを使ったエレガントなロゼ(度数13.6%!)。
可愛らしいマイクロハーブ(気になっていたのにパンフレット持ってくるのを忘れてしまいました)。
茨城県が誇る日本最古の酒蔵「郷之譽(さとのほまれ)」などなど。
こちらの酒蔵さんが醸す「花薫光(かくんこう)」は一度味わって頂きたい日本酒です。
そして当の受賞会場はご覧の通り!
スマホを頭上高く持ち上げないと撮影不能なほどの人だかりです。
遠くには吉野建シェフをはじめ、日本におけるフランス料理界の重鎮が勢揃い。このイベントの注目度の高さを実感します。
駐日フランス大使「フィリップ・セトン」氏による開会挨拶に始まり、日本シャルキュトリ協会会長クリストフ・ポコ氏、ローヌを代表するワインメーカー「シャプティエ」C.E.O.ミシェル・シャプティエ氏、昨日のセミナーでもお世話になったセバスチャン・ゾザヤ氏の挨拶が終わり、ついに結果発表の時。
2023年、パテ・クルート世界選手権の日本代表として栄誉ある1位に選ばれたのは…
帝国ホテル「レ・セゾン」の真野 大貴シェフでした!おめでとうございます!!!
2位は「ア ターブル」の中秋 陽一シェフ。3位は「セルリアンタワー東急ホテルタワーズレストラン クーカーニョ」の青柳 哲也シェフという結果になりました。
こういった場に参加するのは久しぶりの経験でしたが、清々しくてとてもいい気分でした。皆さん通常のレストラン営業が終了した後、疲れた体に鞭打って技術を磨き、この場に立っているのだと思うと自然と尊敬の念が湧いてきます。いいものを見せて頂きました。
世界大会を前にネタバレするわけにはいかないため、1位と2位のシェフが作ったパテアンクルートはご紹介できないのですが、決勝に残った10名のファイナリストによるパテアンクルートは撮影許可されておりましたので、写真のみとなりますがご紹介致します。
どのパテアンクルートも個性豊かで素晴らしい味わいで、じっくり堪能しました。
12種類もあると味は似通ってくるのではないかと思っていたのですが、想像以上に個性が発揮されていて、そういう意味でも刺激を受けました。
林檎のコンポートが入っているもの、パテアンクルートではあまり見たことがないバスク風のもの、ジュニパーを効かせた今までに食べたことが無いもの、断面の模様がとても上品で、でも味わいには独特のパンチがあるものなど、本当に千差万別でしたね。
12種類全てしっかりと味わい、きちんと特徴をメモに取った後、意気揚々と他の料理を取りに行こうとしたところ…………お、お腹が重い…!!!
1枚を1/4~1/6程度に分けてあるとはいえ、12種類食べるとパテアンクルートだけで2~3枚食べたことになりますから、相当なカロリーだったようです(笑)。
それでもワインを飲めばいけるのでは…?と思われる向きもあるでしょうが、店主は健康のため8月末より1年間の禁酒にチャレンジしているため、その手は使えません(苦笑)。
でもこれだけ色々並んでるわけだし、やはり珍しい料理は食べたい…というわけで、どうしても気になっていた…
「コシュケラ」と…
「アンドゥイエット5A」を頂くことに。
まず「コシュケラ」ですが、タラ、ムール貝、グリンピース、オリーブ、茹で卵という組み合わせのスープ煮です。
店主もバスク地方の料理はたまに作りますが、これは初めて見ました。
食べる前は存在意義のわからなかった茹で卵が意外と美味しくて(黄身の部分がスープを吸うんですね)、オリーブのコリっとした食感と酸味、そしてグリンピースのホクホクした感じも海鮮の風味と想像以上によく合います。
フランス料理は地方料理の集合体とよく聞きますが、未だにこういう新鮮な驚きがあるから面白いんですよね。また食べてみたい料理のひとつになりました。
また、「アンドゥイエット5A」は流石の出来栄え。「アンドゥイエット」は腸の中に、刻んで下味を付けた腸を詰めて作るという、フランスでもかなり特異なシャルキュトリーですが、臭みを消しつつ、かといって出しゃばりすぎない程度にマスタードが効いていて、これはワインと最高に合うだろうな~という気持ちになりました。
首都圏のいいところは、こういった様々な地域のフランス料理を手軽に食べられるところですよね。
最近は地方のフランス料理に特化しているお店も多いようですし、この時ばかりは首都圏に住まれている方が羨ましくなります(笑)。
他にも赤ピーマンに詰め物をしたピキオスなどを頂き、大満足で撃沈。
パーティ終盤には以前からInstagramでフォローして頂いていた「ヴァンピックル銀座」の島田シェフにもご挨拶できましたし、今回の東京出張でやるべきこと、やりたかったことは全てやり終えました。
いや~、それにしても実に濃い2日間でした。
帰る直前、メッツゲライササキの福田シェフに食べかけのデセールを渡してしまったのだけが心残り(フォークだけ大使館のスタッフさんに返して、お菓子は後で食べよう~などと意地汚いことを思っていましたw)ですが、まぁいいでしょう(笑)。
もう十分すぎるくらい、東京とフレンチを堪能しました。大満足です。
こういった良い経験を積み重ねて、地元でもっと美味しいフランス料理を提供できるようになっていきたいですね。
このような長文記事を読んで頂き、ありがとうございます。明日(もう「今日」ですが)北海道へと帰ります。
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